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はせ 日記
平成23年
11月23日(水)

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■11月23日(水)

 3時46分起床、ニュースチェック。
 勤労感謝の日。
 新嘗祭。
 シャワーを浴びて背広に着替え、午前5時、金沢の自宅前出発。
 一路、石巻市に向けて、ドライブ。
 午後1時半開催の「いいのかわ安らぎのコンサート」出席のため。
 宮城県石巻市河北地区の小中学校のPTA会が主催。
 私が顧問を務めている「NPO法人 スマイルシード」が後援するイベント。
 晩秋の北陸道〜関越道〜磐越道〜仙台南部自動車道〜仙台東部自動車道〜三陸道。
 途中、黒崎SA、国見SAで休憩し、朝食のうどん。
 晩秋の紅葉がきれいな高速道路を乗り継いで、河北インターで下車。
 北上川に出て、川沿いに新しく整備された道を海のほうに向かうと、大川小学校に出る。
 仮設の信号機を越えて、広場に車を停める。

 多くの子どもたちが、津波で犠牲となった大川小学校。
 慰霊碑の前に立ち、線香をあげ、合掌。
 しばし、学校周辺を散策。
 この土地のどこかに、津波の濁流にのまれ、いまだ発見されない子どもたちが埋まっているのかもと思うと、いたたまれない。
 これまでに、世界各地の紛争や戦争の爆撃の跡地を観てきたが、そのどれもにも比肩しようのない荒涼たる光景。
 あの教室、あの下駄箱で、あのプールで、あの校舎で、その運動場で。
 昨日まで聞こえていた子どもたちの歓声が、一瞬にしてのみこまれた場所。
 さぞ無念だったろう。
 どうして、助けてあげられなかっただろうとの保護者の無念も。
 昨日まで腕枕をして一緒に寝ていた子どもがいない現実。
 裏山の急峻ながけ地には、いまだに津波がここまで駆け上がったというラインが、くっきりと残っている。
 静寂な、秋の小春日に包まれた大川小学校。
 紅葉がまぶしい。

 あれから8カ月。
 線香をあげる車の列が後を絶たない。
 お坊さんも、静かにやってきて、お経をあげて、静かに帰っていく、日課なのだろう。
 合掌。

 午後1時、石巻かほく総合センター到着。
 裏口に、私が顧問を務めるNPO法人スマイルシード代表の山岸さんが、出迎えてくださる。
 出演者のヘンリー・タタルさん(ヴァイオリン)、ピアノの木下順子さん(タタルさん夫人)、ルドヴィート・カンタさん(チェロ)にご挨拶。
 タタルさんは、オーケストラ・アンサンブル仙台の所属。
 カンタさんは、オーケストラ・アンサンブル金沢の所属。
 カンタさんが、どうしても被災地で鎮魂のコンサートをしたいという申し出があり、スマイル・シードに紹介したのが半年前。
 以来、石巻市では2回目のコンサート。
 今回の主催は、かほく地区保護者会。
 あの震災以来、保護者の皆さんは、何もやる気が起きずに、悲しみにふさぎ込んでいた。
 が、毎年恒例の保護者会のイベントに合わせて、何かやりたいとなった時に、クラシックのコンサートに決めたとか。
 タタルさんもカンタさんも、カーネギーホールや新国立劇場で演奏するレベルの世界的な奏者。
 オープニングは、タタルさんの「男はつらいよ」のテーマソング。
 この意表を突く選曲に、会場の空気も和らぐ。
 お二人とも、スロヴァキア出身。
 悲しみと喜びの旋律が、会場を包む。
 決して音響設備が整っているとは言えない会場。
 しかし、これ以上はない鎮魂のコンサート。
 この一瞬に立ち会えたことに感謝。
 およそ45分。
 前半の部を聴き終えたところで、タイムアップ。
 控室のカンタさんとタタルさんと記念撮影し、お礼を申し上げて、会場を辞す。
 山岸代表にも感謝。
 外に出ると涙雨。
 劇団四季の「ユタと不思議な世界」を思い出す。
 どこかに、座敷わらしがいるんじゃなかろうか。
 いっしょにコンサートを聴いてくれているんじゃなかろうか?

 午後3時、水しぶきに消されながら、金沢へと向かう。
 今度は渋滞を避けて、仙台北部自動車道から東北道に入る。
 帰りは、日本列島を南下するような感じ。
 東北道〜磐越道〜関越道〜北陸道。
 小郡SAと阿賀野川SAでトイレ休憩。
 高速道路を乗り継ぐうちに、いつのまにか雨もやんだ。
 現実世界に引き戻されるかのような錯覚。
 帰りに、小矢部SAでいっぷく。
 ガソリンを満タンにし、売店で昔懐かしい興法寺の石畠牛乳のコーヒー牛乳を一気飲み。

 午後11時、百坂町のONAIR到着。
 往復16時間=1350キロ。
 片道8時間。
 滞在2時間。
 興奮冷めやらず、末っ子で晩御飯。
 生ビールを、一気に3杯飲み干す。
 ON AIRの向社長さんが釣ってきた、イカ焼きのつまみが美味しい。
 福島土産の塩トマトやメロンのドライフルーツも美味しい。
 山田さんと森下さんと向さんと、大川小学校で犠牲となった子どもたちに、献杯。 


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