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はせ 日記
平成23年
10月17日(月)

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■10月17日(月)

 午前8時、ホテル出発。
 レンタカーのナビを頼りに、中城村へ。
 午前9時、神谷ファミリーホーム「みんなの家」里親宅 訪問。
 沖縄県の里親委託率は27.4%(全国平均9.4%)。
 沖縄の「ゆいまーる精神(子育ては親戚や近所で支え合う)」は、特筆すべき伝統。
 全国に先駆けて、家庭的養護をも実践している。
 行き場のない子どもの受け皿。
 より家庭的な雰囲気で、被虐待児や指導困難児の立ち直りを支援している。

 ここで指摘を受けた問題は、厚生労働省のガイドライン。
 「里親支援専門職員は、施設に置く」という通知が今春出た。
 「施設ではなく、私たち里親会においてほしい。沖縄県の里親会は、法人化されていて組織がしっかりしている。コーディネーター役も務める里親支援専門職員は、里親会の組織においてほしい!」という要望。
 そりゃそうだろう。
 里親と児童養護施設との連携強化、という政府のガイドラインもわからないではない。
 しかし、里親同士の連携や研修のために役割を果たす専門的な知識を持つ職員は、自分たちの組織にいたほうがいいに決まっている。
 ・ ファミリーホーム型里親
 ・ 養育里親
 ・ 親族里親
 3タイプの里親がある中で、やはり、専門的な知識で継続的に支援をしてくれる職員配置は、急務。
 神谷眞行さん・梅代さんご夫妻、當山清彦里親会会長、山内末子副会長はじめ、懇談に出席いただいた皆さんに感謝。
 懇談後は、子どもたちのお部屋も拝見。
 「今日は国会議員が視察に来るからって、子どもたちは昨日から一生懸命掃除していたんですよ!」と。
 片付けが苦手な子どももいる中で、一生懸命部屋や机のまわりを掃除した様子がわかる。

 もうひとつの問題は、
 「沖縄県には、虐待された児童を治療する情緒障害児短期治療施設がない。だから、被虐待児を預かっても、対応の仕方がよくわからない!」という問題。
 十分な治療もないままに、里親委託される児童もいる。
 里親の苦労は、並大抵ではない。
 最近、DV体験児や、不登校・ひきこもりだった子どもが、増えているとのこと。
 責任を果たしていない親のしりぬぐいを、税金でしなければいけないのか?
 ・・・確かにそういう疑問もあるが、現実は、見捨てられている子どもたちが多すぎる!
 放置せず、何とかしなければいけない、ということ。

 車を運転して移動し、午前11時、サポートセンター「ゆめさき」訪問。
 こちらは、スーパーウーマンの上江田紫寿江代表が運営するNPO法人。
 もともとは、小学校の教師。
 26年間、一貫して不登校児や引きこもりの子どもたちをあずかって自立支援をしている。
 学校に行けない子どもたちに、漢字検定や、ドリル練習や、農業体験や、今ではなんと、資格取得まで指導している。
 厚生労働省と、文部科学省と、農林水産省の仕事を一人で請け負っているようなスーパーウーマン。
 福祉、教育から就労支援まで、といったところだ。
 沖縄県は、ニート率が全国一。
 ここにも貧困の連鎖という社会問題が横たわっている。
 彼らを誰が指導するかという問題に直面した時、「行政支援を待っていてもらちがあかない。私がやる!」と、行動を起こした上江田さん。
 案ずるよりもうむがやすし。
 その「ゆめさき」出身の子どもたちが、合宿生活をしたり、就業訓練をしている「ゆめさき」サポートステーションへ移動し、お昼御飯。
 黒米、ふーチャンプル、アーサースープ、冬瓜パイ、そして野菜サラダ。
 ドレッシングも手作り。
 沖縄の家庭料理を堪能。
 お料理を作り、ふるまってくれた「ゆめさき」出身の子どもたちに感謝。
 どの子にも、「生きがい」を持たせ、誰かに感謝される生活をさせれば、立ち直れるのだ、ということを垣間見る。
 楽しい昼食会。

 午後2時より、学童保育視察へ!
 那覇市へと移動1時間。
 ・ 松川児童クラブ訪問
 こちらは、アパート5部屋をぶち抜きで、活用する民間運営の学童クラブ。
 子どもたちが40名以上集まらないと赤字。
 アパートに隣接する運動場はなく、当然、子どもたちは室内で、ボール遊び。
 床は抜けそうなほどゆがみ、壁のあちこちが破れ、電燈はガムテープ貼り。
 「月15万円の家賃を払うのが精一杯ですよ!」と、指導員さん。
 昔は、ここで親子で保育園を経営していたんだけど、今は学童保育に転用したとか。
 利用料は、一人月13000円。
 本土に比べれば、はるかに高い。
 「このアパートも契約は1年更新なんです。来年、子どもが集まるかどうか心配で心配で。」と。
 やはり、学童保育への公的支援は、まだまだ少ない。
 大司義人主任指導員も、お母さんとの二人三脚に青息吐息。
 「長時間開設加算を、市役所の担当者が渋るようになっているんです。」とも。
 やはり、厚生労働省の取り組みが、後ろ向きだから現場の市町村担当者もこうなる。

 次は、松川学童クラブとは正反対の環境の、古蔵児童クラブ訪問。
 もう午後3時近い。
 外間智枝子主任指導員は、子どもたちのお相手に大忙しの真っ最中。
 ここは、那覇市で初めて、小学校の敷地内に、市の予算で学童施設が建設された。
 今年の4月建設されたばかり。
 保護者の一人3000円の寄付により、夏前にはクーラーも完備。
 快適。
 子どもたちは、頑張りノート(自主勉強ノート)をしたり、将棋をしたり、じゃれあったりしている。

 続いて、午後3時半過ぎ、小学校の中にある、与儀児童クラブ訪問。
 金城仁保護者会長、比嘉艶子主任指導員。
 ここは、小学校の理科室を、放課後に学童保育に転用している。
 授業の後に、理科室の机といすを教室の隅っこに片づけて、学童保育展開。
 でも、トイレは、管理問題上、学校内のトイレを使わせてもらえず、なんと、外の仮設トイレ。
 なんじゃそりゃ!
 「雨の日など、傘をさして、あの外の仮設トイレの前に子どもたちが並ぶんです。我慢できなくておもらしする子どももいるんです!」
 ・・・・って、どうなのよ、校長先生。
 いや、教育委員会さん。
 学童保育のために、トイレくらい貸してあげなさいよ。
 「でもね、教育委員会や管理職は、あまり学校での学童保育に乗り気じゃなくて・・・」と。
 ここにも、教育と福祉の垣根を感じる。

 最後に、午後4時半、浦添市の第一第二宮城学童クラブ訪問。
 浦添市は、沖縄県の中でも子育て支援が充実しており、小学校の隣に、二つの学童クラブが隣接。
 すばらしい。
 当真加奈子・我那覇京子主任指導員も、安心して子どもたちに向きあえている。
 「来週、金沢市での全国学童保育大会に出席します。」と、おっしゃる指導員さん。
 「楽しみに待っていますよ!」と、ご挨拶。
 那覇市と浦添市とでは、大ちがいの学童保育環境だった。
 これも、首長や議会の意識の問題。 

 午後6時過ぎ、ちゃたんニライセンターへ。
 講演会。
 「昼も夜も質の高い保育を目指して(24時間保育夜間保育の現状)」
 片野清美エイビィシィ保育園長が、わざわざ東京からお見えになり、記念講演。
 「沖縄の夜間保育の現状」についても厳しい指摘がなされ、「やる気次第!」と、発破をかけられる。
 玉城善徳 沖縄県私立保育園連盟会長も、基調講演。
 エネルギッシュな片岡さん。
 「子どもたちが安全で、安心して過ごすことのできる環境づくりは、大人の最大の責任!」
 「24時間子どもを預かって、悪影響が出るなんて批判もあったけど、我々にはそんなことは一度もない。虐待もありません。ご飯を食べさせて、友達や仲間づくりをさせて、お風呂に入れて、安心して寝かせつければ、それでもう子どもは安心です!」と。

 午後9時半より、懇親会。「うおうお亭」 


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