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海外出張について |
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数時間しか寝ていないにもかかわらず、時差の関係で目がさえて、朝5時半には起きる。同室の佐藤満先生も、やはり時差の影響で同様に早くに目覚め、几帳面な性格は相変わらずで、シャワーを浴びて身支度を整えて出かける準備をしている。ホテルの自室6階ベランダに出て、アテネの早朝を眺めると、おだやかな柔らかい日差し。神話の国に来たんだなぁああ、としみじみと感じる。
朝食はホテル一階のレストラン。玉子焼きやライスやハムや果物で、アメリカンスタイルのバイキング。ギリシャ料理も少し出ていて、思われていたほどオリーブオイルの影響はなく、おいしくいただく。
朝食後、レスリング支援チームといっしょにレスリング会場に向かう佐藤先生を近くの集合場所のホテルまで送っていき、レスリング協会の皆様にご挨拶。
八戸からわざわざ伊調姉妹の応援に沢内先輩がお見えであり、今後の八戸からの選手のスカウトのこともあり、丁寧にご挨拶する。専修大学の恩師の鈴木啓三先生は、コンクリートの床に寝たらしく、若い俺や佐藤先生がふかふかベッドに寝ているのが申し訳ない感じ・・・・
お見送り後、ホテルに戻って一服してから、いざ、野球の予選最終戦「日本−ギリシャ」戦の応援に向かう。これに勝てば予選第1位で突破し、キューバとは決勝戦までぶつからないので、格下のギリシャ相手とはいえ、確実に勝ち点をもぎ取りたいところ。会場は、昔、飛行場だった土地を区画整理してオリンピック会場にしたところ。ほかにもフェンシングやソフトボールやホッケーなど、数競技の会場となっており、突貫工事で仕上げたせいか、まだ滑走路の名残が残っているところはご愛嬌か?
野球場に入ると、まだ試合開始時間に早かったせいか日本チームの練習中。
バックネット裏に陣取ってながめていると、星稜高校の後輩、村松外野手(オリックス)が出てきたので談笑。
「どうだ、コンディションは?」
「ちょっと足を怪我してるんで、今日は出ません。決勝リーグまでには間に合いますから、そしたら準決勝、決勝でがんばりますよ!」
「おお、がんばってくれよ! それから、星稜高校の同窓会から激励金を俺が預かってきてるから、試合が終わったらホテルに届けに行くよ。とにかく、早く治して活躍してくれな、みんな応援してるから!」
「はい! ありがとうございます!」 と相変わらず礼儀正しい男だ。さすが俺の近所の神谷内在住で小坂小学校出身だけある(関係ないか?)
くそ暑い中で練習しているプロ選手を見ていて感慨深い。こんなコンディションの悪いグランドで、昼の日中から懸命に白球を追いかけているなんて、プロ野球選手としては普段はありえないことだからだ。いつ怪我をするかもわからず、そうなればペナントレースへの影響も考えられるし。こんなにひたむきに勝利に向けて結束しているなんて、この練習の姿こそ、日本のプロ野球ファンに見せてあげたい気がする。それも、オールスター軍団だ。
松坂や上原がキャッチボールをし、キャッチャーの城島が三塁の中村ノリ (中村紀洋 なかむら・のりひろ) にボールを送り、そのボールをノリがショートの宮本(ヤクルト)に送っている、なんて・・・・夢のようだ、まさしく。
この動き自体は高校生の昼間の練習を見ているみたいだが、このメンバーがやるとこれだけで銭が取れる光景。この日本のプロ野球を代表するオールスターが、一文にもならないオリンピックでプライドをかけて炎天下に闘っている姿に、感動しないではいられない。
「オリンピックファミリー」のパスを今朝、ヒルトンホテルで作っていただいたので、特別バックネット裏の席に座らせていただき、生まれて初めて間近に野球の試合を見させていただくことになる。
先発はロッテの清水。これがまた、3者連続三振の最高の立会いなもんだから、いやがおうにも観戦のボルテージは上がる。
午前11時のプレイボールとなったため、ちょうどお天道様は頭のてっぺんにあり、照りつける太陽は痛いくらい。脱水症状にならないように、1時間に1本はペットボトルの水を飲むが、それでも追いつかないほどに干上がって、おまけに日焼けでヒリヒリする。
試合は、意外と地元ギリシャのピッチャーが重い玉で粘り、序盤は2−0.しかし、終盤に福留(中日)の値千金の3ランホームランのおかげで波に乗り、6−1の完勝。
試合中はギリシャの観客も、自国チームのひいきは致し方ないとしても、ファインプレーをすれば日本チームにも大きな拍手を送ってくれて、その空気がいかにもオリンピックらしくて心地よい。
試合内容は、素人目に見ていても、リードする城島の冴えが、ギリシャ打線に的を絞らせずに凡打の山を築いた、といったところ。城島はやや打撃では力が入りすぎてタイムリーは出なかったが、これほどのリードをすれば勝利への貢献度は間違いなく一番。
試合終了後は、ダッグアウト裏で近鉄のノリ選手とばったり出会い、激励。
「あれ、馳さんどうしたんすか?」
「今日は文部科学省代表で応援に来たんだよ、政務官させてもらってるから。それにしても調子良いね!」
「ありがとうございます。おかげさまで予選1位ですから、決勝リーグの組み合わせもばっちりです。キューバには決勝まで会いませんから。金メダル取りますから!」 と自身に満ちた応答。こりゃーますます応援にも気合が入る。
野球の試合中に、女子ソフトボールチームが変則準決勝で中国に1−0で勝ち、オーストラリアとの3位決定戦に回ったという情報をもらい、同じ敷地内のソフトボール場に移動。野球と同じくバックネット裏に陣取り、日の丸を両手に頭上高く掲げて大声上げて臨戦態勢。しかし、お昼ごはんを食べていないことに気がつき、会場内のホットドッグ売り場へ。
よっぽどおなかが空いているときじゃなきゃ食べられないほどまずい、ケチャップとマスタードまみれのホットドックとコークで腹ごしらえ。
午後5時からの試合開始を待っていると、おお、続々と日本チーム応援団がやってくる。まずは、ソフトボール協会会長の山崎拓「せんせい」。そして、JOC会長の竹田さんや市原専務理事。そうこうするうちに小野清子国家公安委員長。さらに、斉藤斗志二(としつぐ) 代議士もアテネ空港に着いたその足で直行してくださる。
「おい馳くん、このたすき懸けなよ!」 と、真っ赤な日の丸を14個もプリントした選挙用みたいなたすきを渡してくれたりして、気合はいりまくり。みんなでネット裏に陣取って声を枯らして応援。しかし、試合は意外な展開に。先発の高山樹里が、疲れの見えた5回につかまり、エラーがらみもあって3点を失い、ジ・エンド。
リリーフの坂井(金沢高校出身)がきれいに後続を抑えるも、残念ながら打てない。悲しいほどにヒットが出ない。すらっとスマートな日本チームに比べて、対戦相手のオーストラリアチームは曙が3人くらいはいるような、大型のチーム。そしてピッチャーの名前はなんと「トーニャ・ハーディング」と来たもんだ。このトーニャ・ハーディングがまた打って良し投げて良しの好選手。
日本チームは完敗し、3位決定。金メダルを目指していただけに、悔し涙に暮れる宇津木監督や選手達。やはり、守れて打てるチーム作りが今後の強化課題か! 北京五輪に向けての各国の戦いは始まっている。
3位を確認してから、急ぎ陸上競技場へ移動。室伏のハンマー投げ決勝を応援するため。競技場に早く入りすぎたので、オリンピックファミリーの控えエリアでペットボトル入り「ハイネケンビール」を2本飲んでいると、エリア内のテレビ画面には女子マラソンの映像が流れてくる。何気なく眺めていると、トップには日本の野口みずき。
「おおおお! ニッポントップや!」 と大声で叫ぶと、たむろしていた各国のオリンピックファミリーが何事かと近づいてきて、マラソンの映像に釘付け。
ひたひたと追いかけてくるヌデレバの不気味さに、両手を合わせて
「勘弁してくれーー・・・・・」 とお祈りしていると、周りのにわか応援団もいっしょに
「カッモーーーン、ジャッパーーーーーン!」 と合いの手を入れてくれる。
結局、12秒差で逃げ切り、シドニー大会に引き続き、女子マラソンは日本が2連覇。それだけでなく、土佐礼子5位、坂本直子7位と出場全員入賞の好成績。周りの人たちから、
「ジャパン、ナンバーワン!」 と俺までなぜか次々と握手を求められ、とってもいい気分!
余韻をかみ締めながら陸上競技場の観客席に座ると、おお、柔道の井上 康生選手が日本選手団の福田総監督といっしょに応援にやってくる。聞けば、日本選手団主将の責任として、最後までアテネに残って他競技の応援に回ることにしたということ。これは、えらい。確かに、主将としてふがいない成績に終わって屈辱と悲しみに打ちひしがれていることだろうが、弱気を見せずに人中に入って謙虚に応援に回る潔さは、きっと彼の人生にプラスになるに違いない。
その井上選手は、親友の室伏選手のハンマー投げの応援に来たとか。2度目のオリンピックの室伏選手は、威風堂々たる投擲を続け、2位。優勝者とはわずか28cm差。おれの足の大きさと同じ差だ・・・・・わずかな差ではあるが、日本人として、欧米の巨漢に囲まれた中で、堂々たる2位。その技術力の高さと精神力の強さには頭が下がる。
競技を見届けてから、福田総監督の招待で、アテネ市内の繁華街にあるレストラン「イベント」にて夕食会。
明治乳業の会長や、ジャパンビバレッジの社長など、日本チームをサポートしてくださる企業の代表とともに、オリンピック前半戦を振り返りながら、ギリシャ料理に舌鼓。小野清子大臣や、竹田JOC会長や、市原理事や、もちろん井上選手も参加し、無礼講での夕食会。
終わってホテルに帰ったら、もう夜中の1時を過ぎていた・・・・
野球 対ギリシャ1
野球 対ギリシャ2
野球 対ギリシャ3
野球 対ギリシャ4
ソフトボール協会副会長等と
中村紀洋選手と
村松有人選手と
三浦大輔選手と
室伏ハンマー投げ
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