第百五十四回  国会

衆議院財務金融委員会議録 第二十二号

平成14年6月28日(金曜日)

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○坂本剛二委員長

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馳浩君。

 

○馳浩委員

 おはようございます。自民党の馳です。

 破綻した石川銀行の受け皿問題について、新たな展開がありましたので、4月に引き続き質問させていただきます。

 今月24日に、アメリカの投資ファンド、メトロポリタン・モーゲージ証券が石川銀行の受け皿金融機関になりたいとの旨で正式に申し入れをし、その結果の記者会見を行いました。このメトロポリタンが申し入れをした会談の内容と参加メンバーをまずお聞かせいただきたいと思います。

 

○村田吉隆内閣府副大臣

 去る6月24日のことでございますが、メトロポリタン・モーゲージ・アンド・セキュリティーズという米国に本部を置く会社でございますが、その会社の太平洋地域責任者でありますマイク・ネコバ氏ほか二名が、石川銀行の譲り受けに関しまして金融整理管財人であります預金保険機構に参りまして、預金保険機構の方は松田理事長ほか二名が対応した、こういうことのようでございます。

 ただし、話し合いの具体的な内容については、譲渡交渉にかかわることでございますので、コメントは差し控えさせていただきたいというふうに考えております。

 

○馳浩委員

 私が問題としたいのは、なぜこの時期に会談をセットしたかということであります。

 受け皿探しの環境整備が、タイムリミットの迫る中ようやく整いつつあり、候補先の金融機関の決断待ちまで来たやさきに、なぜメトロポリタンと会談を持つ必要があったかということをお伺いしたいと思います。

 このニュースは地元紙の一面を飾りましたし、その報道ぶりによって受け皿候補先の銀行が動揺し、憶測を呼んだりいたしております。ちなみに、けさの地元新聞、北国新聞でありますが、きのう一斉に各銀行とも株主総会がありまして、北陸銀行の高木頭取は、決断は早いにこしたことはないとまで質問を受けて表明はしておられる、こういう状況でありまして、なぜメトロポリタンとの会談に応じたのかということについてお伺いをしたいと思います。

 また、メトロポリタンは日本国内での銀行免許を持っておりませんし、事ここに至れば、そもそも石川銀行の受け皿には時間的にも無理なことはわかっての会談の申し入れであると思いますし、また、預金保険機構の事前の了解もないままの、勝手な記者会見だったと伺っております。このような行動は、アメリカでもルール違反と聞いております。

 このメトロポリタンの本当のねらいは何だったのでしょうか。いろいろな問題をはらんでいると思いますが、金融庁としての見解をお伺いしたいと思います。

 

○村田吉隆内閣府副大臣

 先ほどの私の答弁で、松田理事長というふうにお答えいたしましたが、松田理事長と松田理事がおりまして、長を落としていただきたい。大変失礼いたしました。おわびを申し上げたいと思います。

 それから、なぜそうした、メトロポリタンと交渉をしたのか、あるいは会談を持ったのかということでございますが、預金保険機構としては、公的機関でございますので、そうした申し出があれば応じて話を聞いた、こういうことであるかというふうに思っております。

 メトロポリタンはまだ国内に銀行免許を持たないわけでございますが、これについて、一般的にどういう手続で免許の審査をするのか等々の、手続関係の御質問があったか、こういうふうに思いますが……(馳委員「それは次の質問です」と呼ぶ)いいですか。大変失礼いたしました。

 それでは、売名的な行為ではなかったか、こういう質問だと思いますけれども、これにつきましては、石川銀行の譲り受けに関しまして、同行の譲渡先選定権限を持ちますのが金融整理管財人であります預金保険機構でありますので、相手方、メトロポリタンはそうした金融整理管財人である預金保険機構を訪問した、こういうふうに考えておりますけれども、それ以外にどういうねらいがあったかということについては、私ども承知していないということでございます。

    〔委員長退席、中野(清)委員長代理着席〕

○馳浩委員

 これはぜひ委員の皆さん方にもお伝えしておきますが、メトロポリタンの方は、預金保険機構と会談をする前に既に記者会見をセットして、私が先ほど説明したような状況下にありながらも、メトロポリタンとしては引き受ける準備がありますよということを既にマスコミに流しておったわけですね。これを売名行為と言わずして何と言うのか、その真意は何なのかということを金融庁にもそんたくしていただきたいということを私は申し上げているのであります。

 次の質問に移りますが、石川銀行のような、地域に拠点を置く金融機関の受け皿に外資がなることの是非について、金融庁としての見解をお伺いしたいと思います。

 地域の経済安定を掲げて、地元投資家、預金者、地元企業のために金融活動をする、いわば地域に根をおろした金融機関が石川銀行の受け皿としてふさわしく、外資はともすれば自己利益に走りやすく、ミスマッチであると同時にリスクが大きいと思いますし、先般の富山県議会の答弁におきましても、中沖知事は、私は個人的には反対だ、今私が述べたような趣旨で明確に答弁もしておられます。ちなみに、中沖知事というか富山県は北陸銀行の出資者でもありまして、そういう観点からの発言だったとは思いますが。

 あわせて、国内に銀行免許を持たない外資が受け皿になることを表明して免許の申請をしてきた場合、どんな手続で免許の審査をしたりするのか、また、最速でどのくらいの期間で免許を与えるのか、お聞きしたいと思います。

 受け皿選定と免許申請という、こういう並行審査の場合、初めに結論ありきで、審査が慎重かつ公正に行われるのか、これも疑問でありますので、見解をお伺いしたいと思います。

 

○柳澤伯夫国務大臣(金融担当大臣)

 地域銀行が破綻したときに、その後継というか承継銀行はどういうものであるべきかという観点から、ここで外資についてどう考えるか、こういうお尋ねでございます。

 基本的には、私どもは内外、外から来たものを初めから除外してかかるというような、何かそういう方針を持っているかといえば、それはございません。要は、最終的にどういう経営方針でやるかということが問題でございまして、その経営方針というものが、これまでの地域金融機関の実績をよく踏まえられて、しかも健全な銀行業務を展開するということかどうかが大事だというふうに考えておるわけでございます。

 そういうことで、外資になることの是非ということは、外資かどうかということよりも、その経営が、今言ったように、本当に地域の経済を強くしていく、そのためのインフラとしての金融の役割を果たしていくということかどうかがここで是非を問われるべき問題だというふうに受けとめております。

 

○馳浩委員

 大臣、今までにも二、三例あると思いますし、北陸では実はこういう例がある。山一証券が破綻しました。それを北陸の方ではメリルリンチですか、撤退してしまっているんですね。ある意味では収益第一主義という印象が北陸の金融機関や県民の中には随分、印象として根差しておって、何だ、外資の皆さんは、山一証券の店舗も人員も引き受けて、いや、よくやってくださると思ったら、あっという間に引き揚げてしまったという印象が非常に強いのです。

 だから今回のメトロポリタンの話にしても、これも、支店も雇用も守りますよというふうな話し合いが実は24日の日になされたそうでありますけれども、本当にそうなのかなという疑念が経済界にもあるということをまず、これは金融庁としてもわかっていらっしゃるでしょうから、今の大臣のお答えは一般論ではあると思いますけれども。

 地元のと私は申し上げますと、やはり石川銀行との取引先というのは中小中心なんですよ。中小中心の皆さん方は、いや、これは、受け皿決まって、その後に、では優良なものは受け皿に行きますよ、そうじゃなきゃRCC行きでしょ。RCCも回収専門ばかりではなく再生の方向にも行くと法改正でなりましたけれども、自分たちはどうなるのかな、中小企業の皆さんは。RCCは新規融資をしてもらえますか。しないんでしょう。これが一番不安なんですよ。

 同じような形で、外資に食い物にされてしまうんじゃないかという不安があるということがあったので、私は今質問をさせていただいたということも御理解いただきたいと思います。

 それでは手続論、お願いします。

 

○柳澤伯夫国務大臣(金融担当大臣)

 証券会社の方の例を挙げられましたけれども、それはそこでまた別途の理由があったということですので余り、できますれば、先生のようなお方に、あれはこうなんだよというようなことで御説明いただければありがたい、こういうように思います。詳細はここで申し上げることはございませんので差し控えますが。

 それから、現にこの問題については、もう金融整理管財人が地元の金融機関にいろいろと折衝を重ねておりまして、むしろそちらの方が、最終的な合意までは至っていないんですけれども、環境が整いつつあるというふうに我々はかなりポジティブに状況を評価しておるということでございますので、私どもが、何か先ほどの一般論で、無理やりに外資の方になんというような気持ちは金輪際ございませんので、御理解を賜りたいと思います。

 

○村田吉隆内閣府副大臣

 それではお答えいたしますが、銀行の免許でございますが、申請があったときには、銀行法第四条に定められた審査基準に適合しているかどうかということを審査させてもらう。これは、財産的な基礎の問題、それから収益性の問題、それから人的構成ということではないかというふうに思います。

 審査でございますけれども、今申しましたように、銀行の業務にかかわる収支の見込みを審査するということになっておりますので、破綻金融機関の受け皿の場合には、従来の例で見ますと、営業譲渡契約締結あるいは基本合意締結の後に受け皿会社が設立されて、その後に銀行の免許の申請が行われてということでございます。

 免許に要する最速の処理期間、大体どれぐらいかかるか、こういうことでございますが、銀行法施行規則の四十条に、申請が当局に到着してから一カ月以内に当該申請に対する処分をするように努めるものとするということにされておりますので、ケース・バイ・ケースでありますけれども、大体おおむねそういった標準処理期間をめどに処理されているという過去の例でございます。

 

○馳浩委員

 副大臣、今私が最後に質問したのは、並行審査の場合に、いわゆるまず初めに結論ありきということのないように慎重に公正にやっていただきたいということに対するコメントがないんですけれども。

 

○村田吉隆内閣府副大臣

 審査は、銀行法四条に定められたとおり、その審査基準に合致するかどうか公正に適正になされる、こういうことでございます。

 

○馳浩委員

 あと、もう一回期間の確認なんですが、私は事前にいろいろとレクをいただいたときに、大体早くても三カ月くらいかなというような話を伺ったんですけれども、そんなものなのか。

 

○村田吉隆内閣府副大臣

 特に外資系、関西さわやかと東京スターの例で申し上げますと、大体それぞれ一カ月前後でございますね。三カ月ということではございません。申請をされてから免許付与まで大体一カ月、こういうことでございます。

 

○馳浩委員

 一カ月だそうです。私はちょっと、一カ月で十分な審査がなされて、ましてや銀行免許を出すわけですから、心配を一応表明しておきます。

 次に、今までの議論を伺ってきて、私の見解を含めて地元の期待も申し上げておきたいと思います。

 石川銀行の受け皿は地元の金融機関がなるのがよい、メトロポリタンとの話は地元金融機関との交渉が決裂しない限り全く進展を見ない話である、金融庁も地元金融機関が受け皿となるように重ねて最大限の努力をしていくべき、このように私は見解を持ちましたが、大臣、いかがでしょうか。

 

○柳澤伯夫国務大臣(金融担当大臣)

 金融庁は、この破綻金融機関の営業譲渡につきましては、公正でありかつ透明である手続に沿ってこれを進めるという基本原則に立っております。

 地元の方々に対しましても、金融整理管財人がいろいろと折衝をさせていただいておるわけでございまして、先ほど申したように、むしろまだ合意には達していないけれどもそういう環境が整いつつあるというふうに考えておりまして、私どもとしては、これに対して、できるだけそれが実るように、我々の方でできることは努力をさせていただきたいということが基本的なスタンスでございます。

 

○馳浩委員

 今回のように外資が名乗りを上げてきた原因として、受け皿選定が長期化していることも挙げられます。

 特に、地元石川県の基幹銀行であります北国銀行のかたくなな受け入れ拒否、この受け入れ拒否については、北国銀行のきのうの株主総会でも深山頭取から言及がありました、総合的に勘案して、経営基盤が石川銀行と重なりますから引き受けませんと。

 ただし、私がそんたくするに、本音の部分は恐らく、取引先が重なるところが地域的に結構多いんですけれども、そうすると、管財人からブリッジバンク、ワンタッチで次の受け皿に行く場合に、RCC行きも出てきますね、当然。そうすると、その時点まで、取引先の中小企業の皆さん方は、自分がどこへ行くか、まだ最後の決断をいただいていないわけなんです。そうすると、同じ地域にいて、何だ、おれたちはRCC行きか、どうするんだというふうな、こういう不安が不満として来るのが嫌なんじゃないかな、私はそういうふうに判断もするんです。

 恐らく、総合的な経営判断でもありますし、もちろん経営陣や株主総会も切り抜けなきゃいけない問題でしょうから、だから、総合的に判断して北国銀行は、地域における重要な銀行であるにもかかわらず、当初から、引き受けません、こう表明しているんですが、私は、地域に対する貢献という意味では、これは余りにもそういう観点を無視した、地銀としての使命に反するように思いますし、率直に、けしからぬと実は思っているんです。

 こういうことに対して余りコメントはしたくないかもしれませんが、私も、地元にいて、北国銀行さんの堅実な経営手腕、安定的な運営については高く評価する立場ではありますが、事今回の問題については、なぜかというと、きのう北陸銀行の高木頭取も株主総会で、我々は地域に貢献するために、北陸の金融の安定のためにも、そういう観点からも、引き受けるに当たっては最終的な決断を出す段階まで来ている、そんなに決断が遅くなることはない、早い方がよい、こういうふうに述べておられるのを見るにつけ、地元石川県の人間として、北国銀行の姿勢はいささかいささかではないかと思うんですよ。

 この件について、また私が大きな声を上げ過ぎると票が減るのかなという気もするのですが、それは抜きにして、北国銀行のこういう姿勢について金融庁としてはどう思いますか。

    〔中野(清)委員長代理退席、委員長着席〕

 

○柳澤伯夫国務大臣(金融担当大臣)

 できればという、特にお地元の御出身でもあるし、お地元のことについてよく御存じの馳委員から、残念だという、あるいは遺憾だというような感じをお述べになられつつのお話でございました。

 つい、馳委員のまじめなそういう述懐を聞いていると、私も同感だとここで言い切りたいような誘惑にも駆られるんですけれども、ここはぐっとこらえまして、やはり個別の、そういうまさに大きな経営判断なんですね、各行にとって。それはやはりそこを尊重していくべきだ、それについてコメントをこういう場で申し上げるというのは差し控えるべきだろう、このように考えております。

 

○馳浩委員

 次に、石川銀行の受け皿問題は、結局は石川銀行から融資を受けている借り手である中小企業の保護の問題とも言えます。そこで、中小企業に対する金融行政のあり方について質問させていただきます。

 本日、柳澤大臣は、閣議後に、中小企業への金融検査のあり方を、今までの大手も中小も同じ方式から、現実、中小企業の立場を考慮した検査マニュアル別冊、中小企業融資編の作成、整備についてをパブリックコメントを経て現場で実施されると発表されました。

 これは、検査について、主要行、地銀、第二地銀、信金、信組といった金融機関の規模、業態を対象にするのではなく、大手、中堅企業と中小企業、零細企業となる借り手を対象とした現実的な対応として高く評価いたします。しかしながら、現場の検査官が今までの厳しい検査としての方針変更をどう調整してくれるのか、検査が現実と対応しなければ今までと同じではないかと危惧する金融関係者が多くおります。例えば半年後とか来年3月に実施状況を再点検し、さらにこの制度を前進させるシステムづくりができないかをお伺いしたいと思います。

 

○柳澤伯夫国務大臣(金融担当大臣)

 「金融検査マニュアル別冊・中小企業融資編」という、検査マニュアルの文字どおり別冊を用意しようということで、4月の12日から5月の20日までパブリックコメントをいただいてきたわけでございますけれども、こういう御意見も含めまして検討を行った上、最終的に内容を確定いたしましたので、本日、検査マニュアルというのは検査官の検査のマニュアルですので、検査官にあてまして通達をし、あわせてこれを公表するというふうにした次第でございます。

 これが徹底するようなシステムを考えろ、こういうようなお話でございますけれども、私どもは、検査の第一線で働く検査官、もちろん、事前にまず十分な研修をするということでやらせていただいておりますが、同時に、検査中に、ちょっと検査の第一線ではなくて、バックオフィスというか経営者のところへ行って、今検査をさせていただいていますが検査官とその現場の対象者の話し合いぶりというようなもの、何かお聞きですか、何か問題はありませんかというようなこと、これをモニタリングと言っているんですが、こちらからバックオフィスの者が出かけていって、そういう現実に検査官がやっているところをモニターさせていただくというようなことを既にとらせていただいておりまして、今先生御指摘のことについては、こういうシステムを十分機能させるということによって御要望にもおこたえできるのではないか、こういうように考えております。

 検査マニュアルで検査の基準が変わるかというと、それはそうではないわけでして、あくまでも、基準は基準なんですが、中小企業の特殊性というものをもっと見なさい、経営の実態をもっと見なさい、そのときの着眼点はかくかくしかじかですよというようなことを掲げ、さらにそのことを徹底させるということで、できるだけ実態に、できるだけじゃなくて実態に合った債務者区分なりなんなりに至るような、そういうことを進めていくということでございますので、御理解のほどをそちらについてもお願い申し上げます。

 

○馳浩委員

 最後の質問とさせていただきたいと思います。

 中小企業白書の資料から申し上げたいと思いますけれども、キャッシュフローから見た有利子債務の返済期間は、大手で6.89年、中堅で9.8年、中小企業が19年であります。普通のときでも返済に時間がかかる厳しい経営実態の中小企業に対して、銀行の収益力を強化せよ、リスクに合った金利を取れという金融庁の指導があると言われ、金融機関が金利引き上げを許容している事例が全国で多々発生していると伺っております。中小企業を四段階の業績に分けて、特に力の弱く業績の下のランクの企業からねらわれているのが現実です。

 史上最低の預金金利をそのままにして、金融庁は、銀行収益力強化のためにはこのような金利引き上げをするよう指導しているのでしょうか、または現実に行われている金融機関の金利引き上げの動きを認めているのか、お伺いしたいと思います。

 これでは、中小企業は、特に弱い経営者の企業は今まで以上に大変であります。この厳しい現実をわかっているのでしょうか。大臣はこのような動きをやめさせる通達や大臣発言による指導を直ちに実行すべきと考えますが、どうかお伺いいたします。

 

○柳澤伯夫国務大臣(金融担当大臣)

 金融庁はかねて、金融機関が健全であるように、これは具体的に言うと、それだけではありませんけれども自己資本比率ということに関係が深いものでございます、そういうことを申しているわけですけれども、じゃ、この自己資本というものはどうして充実できるかといえば、これはもうどちらから考えても結局収益を上げていくということでございまして、そういう意味で、収益力の向上というのは健全性の向上に直結するものでございます。

 そういうことで、収益を上げるということを強く言っているわけですが、収益を上げるというのはどうしたら可能かといえば、まず第一にコストを下げること、これはもう我が手で簡単にできます。したがって、よく組織の中でむだがないかということでむだを省いてコストを下げる、これが第一でございます。それからもう一つは、例えば、業務の中でも手数料収入を上げる、資産を使わない手数料というような収入を上げなさい、こういうようなことが考えられるわけですが、日本の銀行というのは預貸の業務というのにまだ依存しております。

 そこで、預貸の業務からも収益を上げるように努力をすべきだ、こういうことになるわけでして、そういうときに一番日本でおくれをとってきたのが、正直言って、信用リスクに見合う金利というものを取ってこなかった。

 これは何でそうだったかというと、信用リスクというものをほとんど担保不動産で吸収してしまいます。そうしますと、信用リスクというものは、事業それぞれA、B、C、D、債務者によってそんなに変わりはしないということになります。そこで、べたに金利も同一水準でほぼ貸してしまうということが行われてきたわけですが、今や担保に頼るわけにいかなくなってきているというようなことで、勢い、信用リスクというものが強く意識されるようになりましたので、それに見合った利幅をいただくように、その信用リスクに見合うぐらいの金利は上乗せをできるだけするようにということを言っておるわけです。

 そこで、そういうことをやると、押しなべて中小企業に対して攻勢が及んでくるじゃないかというのが馳委員のお尋ねなんですけれども、これはそういう面もあろうかと思うんですが、先ほど来御議論の、信用リスクを考える際に、中小企業の場合にはよくその特殊性に着眼をして実態を把握しなさいということを言っているわけであります。そういうことで、先ほどの関連も踏まえてやるようにということを私どもとしては指導していくようにいたしている次第でございます。

 

○馳浩委員

 一言、今の答弁を伺って、そここそまさしく政策でやる部分ではないか、政策でもっとやる部分ではないかということを私は申し上げて、終わりたいと思います。

 


   詳しくは財務金融委員会 議録をご覧ください
(常任委員会 → 財務金融委員会)
 


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