衆議院 文部科学委員会議録

第162回  国会 第16号

 平成17年8月3日(水曜日)

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○斉藤鉄夫委員長

 馳浩君。

 

○馳浩委員

 おはようございます。

最近、若者言葉にはいろいろございまして、きょうの大臣のファッションはやばいとか、いや、それは格好いいという意味ですからね、例えば先ほどの局長の答弁が微妙だとか、いわゆる本来の趣旨とは違った意味での言葉遣いもまた広がってきているということがございました。

 この国会で、民主党の肥田美代子先生、また我が党の鈴木恒夫先生が大変努力されて活字文化振興法がなされて、今後施策がとられていくことは大変よかったと思います。やはり正確な日本語の利用、これは活字を通して子供たち、また私たちが理解をし、ふだん使っていくということから美しい日本語が子供たちに伝えられていくべきものと思いますので、このことはまた御理解いただいて、私の質問にはやばい答弁とか微妙な答弁は必要ございませんので、まさしく今素直に思うところをお聞かせいただきたいと思います。

 きょうは、副大臣に主にまずアンチドーピングの話からお伺いしたいと思います。

 昨年の国際会議に我が国から大臣や副大臣、政務官等が出席しなかったことはよくないことだという指摘をいたしました。この秋にも第三十三回のユネスコ総会が行われます。まず、この秋のユネスコ総会でどんな議題が最重要課題として考えられているのか、準備されているのかということをお答えください。

 

○塩谷立文部科学副大臣

 ユネスコにおきましてアンチドーピングの国際条約の案がこの十月に採択をされる予定で、昨年一月から各国間の話し合いが始まっておりまして、これにつきましては本年は大臣か副大臣かだれか出席をしていきたいと思っておりますので、ぜひまた御指導いただきたいと思います。

 

○馳浩委員

 スポーツにおけるアンチドーピング国際条約の採択の重要な会議でございますので、我が国の意気込みということで、十月と考えれば臨時国会会期中、それを考えると副大臣なのか政務官なのか、ぜひ政治家を担当者として出していただくことをまず申し入れておきます。

 それで、それを受けて、我が国として、スポーツにおけるアンチドーピングの国内法の整備が求められると存じます。ただし、国内でのアンチドーピングということを考えた場合に、薬なのか薬品なのか、また国際的な流通の問題と考えると、これは教育の問題も絡めれば他省庁にまたがる案件であることは言うまでもありません。我が国においても、文部科学省が主体となってアンチドーピングに取り組む法律というものを整備していただきたいと私は考えておりますが、今のところ、文部科学省としてどのようなお考えであるかということをお聞かせください。

 

○塩谷立文部科学副大臣

 このたびの国際条約につきましては、国際的にも日本がこのアンチドーピングの常任理事国として今努力をしているところでございますが、今先生おっしゃったように薬物の問題、この禁止物質の法令的な整備が必要となっておりますので、この点につきましては、薬物使用を禁止するもの、あるいはその入手や使用を規制することなど求められておりますので、その法的整備を関係省庁とともにしっかりと対応してまいりたいと考えております。

 

○馳浩委員

 関係省庁とともにではなくて、文部科学省が所管となって協議をし、やっていただきたい。ほかの省庁も一緒にやったら、それは内閣府でやればいいじゃないかという話になりかねませんので、そうではなくて、基本的にはスポーツに関するアンチドーピングということになりますので、その辺のところはしっかりと押さえておいていただきたいと思います。

 それで、これは私からの提案ですが、アンチドーピング、この理念から含めて、なかなか我々には耳になれない言葉であります。

 ただし、今後オリンピックの国際大会で、昨年のアテネでは、室伏選手が幸いにも金メダルを獲得することができましたが、これもやはりドーピングにひっかかって金メダルの選手が剥奪されての室伏選手金メダル、やはり我々日本人としては素直に喜べないことでもありました。

 それを考えると、私から幾つか提案がございますので、今後の政策に生かしていただきたいなということを申し上げます。

 一つは、中学校、高等学校の保健体育の授業においてアンチドーピングの精神、また具体的に四分野ありますね、利尿剤がだめとか、興奮剤がだめとか、筋肉増強剤がだめとか、あるいは鎮静、心を静める、そんな薬はだめよと。理念から始まって、どういったものが対象となるのか、なぜいけないのか、こういったことを教育の中に入れてほしいと思いますが、いかがでしょうか。

 

○素川富司政府参考人(文部科学省スポーツ・青少年局長)

 お答え申し上げます。

 アンチドーピング活動の推進、これは私ども、非常に重要な事項だと思っておりまして、スポーツ振興基本計画におきましても、政策目標を達成するための施策として位置づけているわけでございまして、その教育啓発活動を実施しているところでございます。

 今御指摘のありました学校教育活動におきまして、これは心身の健康のみならず、人格の形成にも大きな影響を与えるということで、小中高等学校において、薬物乱用防止教室という観点から実施をしているわけでございます。また、高等学校につきましては、必修の教科内容として盛り込むというところまではまだ行っておりませんけれども、その学習指導要領の解説の中で、公正に競技を行うことの観点からドーピング問題を取り上げるよう示しているところでございまして、今後とも引き続き検討してまいりたいと思います。

 

○馳浩委員

 現状はわかりましたよ、局長。ただ、その国際条約を我が国でも批准するという態勢に入ったときに、我が国の中学、高校でも必須科としてやはりお願いしたいという提案であります。

 二つ目は、これは専門的になりますが、ナショナルトレーニングセンターが平成十九年度中にできる予定です。そうすると、ここのコーチアカデミー事業あるいは日本体育協会の指導者育成事業においてのアンチドーピング講義、これを必須化していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 

○素川富司政府参考人(文部科学省スポーツ・青少年局長)

 お答え申し上げます。

 先生御指摘いただきました日本体育協会の指導者養成事業、これは平成十七年度から体系的に整理したものでございますけれども、既にその共通科目のカリキュラムにおきまして、アンチドーピングを内容として取り上げているところでございます。また、御指摘のありましたナショナルコーチアカデミー事業、これはナショナルトレーニングセンターの有する機能の一つとして考えられているわけでございますけれども、まだ具体的にその講習内容等については詰める段階ではございませんけれども、JOCや日本スポーツ振興センターと、今後、先生の御指摘を踏まえて十分相談してまいりたいと考えております。

 

○馳浩委員

 次に、アンチドーピングのことをよりわかりやすく、詳しく伝えることのできる教員養成も必要でございます。大学における、特に体育系大学におけるアンチドーピングに関する講義はぜひ必修化をしていただきたい。

 それに関連しますけれども、鹿屋体育大学、柴田亜衣選手の活躍で何か六年間の予算が少し確保されたような報道もされておりますけれども、ああいった鹿屋体育大学などで特色のある教育ということを考えると、このアンチドーピング教育に関しての拠点とするぐらい、やはりそういった取り組みもしていただきたいなと現場の経営者に思うんですけれども、いかがでしょうか。

 

○素川富司政府参考人(文部科学省スポーツ・青少年局長)

 お答え申し上げます。

 大学教育につきましては、社団法人全国大学体育連合と協力いたしまして、平成九年にアンチドーピング教材の作成委員会を設けまして、広く一般学生までを対象としたアンチドーピングの教材「スポーツとアンチドーピング」、これを作成いたしました。各大学、特に今御指摘ありましたような大学の体育学部に対してアンチドーピング教育を求めてきているところでございます。

 具体的には、私の手元には例えば筑波大学の体育専門学群のカリキュラムもございますけれども、この中にもアンチドーピング概論というものが具体的に入っているところでございます。個別の大学の体育学部におきましても授業内容として取り上げてきているところでございますので、今後とも、引き続きこの教育の充実に努めてまいりたいと考えているところでございます。

 

○馳浩委員

 我が国には、日本アンチ・ドーピング機構というのがございますが、これを設立するときには、totoの方で予算を一千万ほどは確保しようかという話があったんですよ。我が国のtotoも厳しゅうございますから、我が国におけるアンチドーピングの関連予算というのはJADAと連動してまいりますので、これの今後の確保については、予算編成を前にしてどのように考えておられるのか。考え方で結構です、局長、お願いしたいと思います。

 

○素川富司政府参考人(文部科学省スポーツ・青少年局長)

 お答え申し上げます。

 アンチドーピング活動に対するスポーツ振興くじの助成でございますけれども、これはJADAに直接出しているものもございますし、また、JOC、日本体育協会、各競技団体が個別の競技上の検査をするというための財源としても支出しているところでございます。いずれにいたしましても、その助成財源が減額しているということは事実でございます。

 今後とも、日本におきますアンチドーピング活動を考えます場合は、やはりJADAの役割というものをどのように考えるかということは非常に重要になってまいります。国とJADA、各競技団体の役割分担、その支援方策など、今後の我が国におけるアンチドーピング活動のあり方について、関係者と相談しながら検討してまいりたいと考えているところでございます。

 

○馳浩委員

 実は、このアンチドーピングに関して、文部科学省として死角になっているところがあるんですよ。塩谷副大臣、これはプロの世界なんです。文部科学省とプロスポーツの世界というのは、プロスポーツ協会というのかな、毎年プロスポーツ大賞などを表彰する、こういったところぐらいでしか実はつながっておりません。

 では、はっきり言えば、大相撲や競艇、競輪、プロ野球、プロレスも入るのかな、入るんですよ。文部科学省として関係のあるプロスポーツ協会の中には、こういったプロスポーツの団体、プロゴルフも入っていますね……(発言する者あり)ダンスも入っているのかな。そして、アンチドーピングを我が国として、国際条約ができて批准して、採択して法律もつくっていこう、文部科学省がやっていこうというときに、プロスポーツの世界を抜きにしては語れないというのが私の持論です。

 ということは、これは、アマチュアの選手ばかり抜き打ち検査をやるとか厳しくやるばかりではなく、プロスポーツの世界にも、アンチドーピングを国内法をつくってやるんだ、国際条約に基づいてやるんだ、ましてやオリンピックにだってプロ選手は出ているんですよ。これは、やはり文部科学省の所管以外のことですので知らぬ存ぜぬとはいかないと私は思うんですよ。

 ここは考え方の整理のことですから、これは局長はいいですよ。塩谷副大臣、担当として、この認識をまず持ってほしいんです。プロスポーツの世界、我が国もたくさんのプロスポーツ、すばらしいです、野球も大相撲も、子供たちのあこがれであるばかりでなく、国民にとってのあこがれですよ。それが今後、いや、知りませんでした、コーチもトレーナーも、いや、うっかりしていましたで、アンチドーピングにひっかかって国際的な問題になりかねないとも限らない。

 ですから、プロスポーツの世界に対するアンチドーピング、これをいかに浸透させていくのか。あるいは、法律をつくるときにある程度強制力を持たせるのか。これはやはり指導的役割を果たすのは、厚生労働省でも経済産業省でも内閣府でもないです、文部科学省の責任ですよと私は考えておりますが、塩谷副大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。

 

○塩谷立文部科学副大臣

 今後、法律、法制化の段階で大変重要な課題だと思っております。特にプロスポーツに対するドーピングの問題は、野球の問題も、いわゆるアメリカの大リーガーがドーピング検査を拒否しかねないので競技から外したということも言われておりますので、今後我が国においてもプロスポーツを対象としてどうするかというのは、しっかりと我々文部科学省で一つの方向性を出さなければならないと思っております。

 特に、我が国のドーピングについては、いわゆる各競技団体に任せているところが多いと思いますので、やはりJADAが、あるいは文部科学省が中心になって、抜き打ち検査的な、量的な検査をふやしていくことも求められてきますので、そういう意味では、プロスポーツもしっかり対象にして、どこまでできるのかということを今後検討してまいりたいと思います。

 

○馳浩委員

 これはスポーツ振興法をちょっといじって改正して、アンチドーピングの規定を書きますよという問題ではないということをはっきり申し上げておきます。やるならば、アンチドーピングに関してしっかりした法律を持ち、同時にプロスポーツも含めるような強い姿勢でいかないと、また、日本相撲協会に対しても、文部科学省がどういうかかかわり方をしているかということを考えれば、余り影響力を持たないのかもしれませんが、今後はそうはいかないと思います。日本相撲協会に対しても、アンチドーピングについては文部科学省が厳しく取り組む。野球協会、野球の方もそうですよ。その姿勢を持っていただくことが必要であるということを申し上げておきます。

 次に、スポーツ行政で先ほどから名前が出ておりますナショナルトレーニングセンターのことを質問いたします。

 基本計画はできました。大変な御努力に感謝申し上げますが、今後は管理運営のあり方について問題が出てこようと存じます。

 これも私の私見を申し上げますが、日本スポーツ振興センターとJOCの協力が不可欠と思っておりますし、はっきり言えば、施設の管理は日本スポーツ振興センター、ナショナルトレーニングセンターの運営に関してはJOCが担当することがベストと私は考えております。実際の施設の管理と運営と、ノウハウをどこが持っているかということを考えた場合の結論というのはこうなるのかなと私は思っております。

 そうなると、ここが大事だと思います、ナショナルトレーニングセンターのセンター長が、JOCや競技団体、現場の声を聞いて予算を執行する、それからいろいろなプログラムを執行するための人事権を持つ。その人事権と予算権の権限を持つには、ナショナルトレーニングセンターのセンター長、所長がJOCの理事であり、日本スポーツ振興センターの理事になる、これが一つの望ましい形なのかなと思います。

 こういうナショナルトレーニングセンターの所長がJOCの理事になったり、日本スポーツ振興センターの理事になるということは、これは法律的には大丈夫なのでしょうか。また、私は今全体的なことを申し上げましたが、ナショナルトレーニングセンターの今後の管理運営に臨む現状での文部科学省の考え方をお聞かせいただきたいと思います。その後、副大臣の方からお願いします。

 

○素川富司政府参考人(文部科学省スポーツ・青少年局長)

 お答え申し上げます。

 今先生から何点か御提案があったわけでございます。ナショナルトレーニングセンターに関しましては、我が国の競技力向上の中核的役割を果たす重要な施設と認識しております。したがいまして、施設の管理運営に当たりましては、選手強化に中核的な役割を担っておられるJOCと密接に連携することが重要でございますし、また、各競技の全体の強化に役立ちますように、ナショナルトレーニングセンターがリーダーシップを発揮した一体的な運営がされることが重要であると思っております。また、JOC、各競技団体や選手が利用しやすいものであること、さらには、隣接する国立スポーツ科学センターとの密接な連携が図られることなどが重要であろうと考えております。

 このような観点から、この管理運営につきましては、文部科学省、JOC、各競技団体、日本スポーツ振興センターから成るナショナルトレーニングセンター管理運営委員会を設置しているところでございまして、この場を活用して検討を十分進めてまいりたいと考えているところでございます。また、ナショナルトレーニングセンターの運営に当たる責任者の役割、これは重要なものと認識しております。その位置づけなどにつきましては、適切なものとなるようこれも検討してまいりたいと思っております。

 それから、ナショナルトレーニングセンターの責任者、これをJOCの理事とするかどうか。これはJOCにおいて検討いただくべきことでもあろうかと思っておりますけれども、制度的、法的には、独立行政法人の理事がJOCの理事を兼ねるということは可能であるというふうに理解しているところでございます。(馳委員「日本スポーツ振興センターの理事は」と呼ぶ)JOCの理事を兼ねるということは制度的には可能であると考えております。(馳委員「日本スポーツ振興センターの理事とJOCの理事を両方兼ねることが」と呼ぶ)はい。法的には可能であると理解しております。

 

○塩谷立文部科学副大臣

 大変立派な国際スポーツ科学センターができて、成果も出ているところでありますので、今後、スポーツ振興について、またトップの競技者の育成については、いろいろな形でそれを活用していきたいと思っております。

 今、馳先生からお話がありました、ナショナルトレーニングセンターの所長がJOCのメンバーとして人事権とかあるいは予算の執行権、これも一つの方法かと思いますが、いろいろな各競技団体あるいはさまざまな意見を聞くために管理運営委員会というものを設置して、その中でどうするかということを今考えておりますので、またその点については十分検討してまいりたいと思っております。

 

○馳浩委員

 なぜ私が具体的なことまで口を挟むのかというのは、反省があるんですよ。JISSの反省があるんです。JISSのセンター長の浅見さん、今笠原さんにかわったのかな。ところが、残念ながら日本スポーツ振興センターの理事ではないので、人事、予算について上の雨宮理事長の方から何か来れば、抵抗できないんですよ。現場からは、研究員の方々、利用する各競技団体の選手からは、ああしてほしい、こうしてほしいという要請、任期制の研究員の方々からこういうふうなことをやりたいという、なかなかそれを実現することができないんです、人事的に。JISSのセンター長はなかなか、やはり親方日本スポーツ振興センターの枠の中にいて、予算も人事も限られているという現実がございます。同じことを繰り返してはならないというのが、実は私がここまで踏み込む理由なんです。

 そしてさらに、そのことはそのこととして御理解ください、その上で、JISSの隣にナショナルトレーニングセンターができるんですよ。では、JISSとナショナルトレーニングセンターの関係をどうするのかという問題が新たに出てくるんです。

 そして、ここで提案ですが、JISSもナショナルトレーニングセンターの一部門として、管理運営について一体的に考えていただきたい。JISSはJISS、ナショナルトレーニングセンターはナショナルトレーニングセンターでやると、また管理運営について二重になったり、JISSが有効にナショナルトレーニングセンターのために活用されなかったりということがあります。この辺の仕切りは、これはやはり塩谷副大臣の方で考えておいてください。これは私の提案ですから、答弁は要りません。

 もう一つ、ナショナルトレーニングセンターの問題に関して、きょうは各党の先生方がいらっしゃるのでお願い申し上げておきますが、場所は北区につくるんです。北区の住民の皆さんとの折り合いが大事なんです。はっきり言えば、北区の区議会とうまく調整が必要なんです。

 なぜかといえば、北区という住宅密集地でございますから、なかなか子供たちや一般住民、高齢者が運動する場所がないんですよ。今現在でも、テニスコートなどJISSの関連施設をお使いいただいているんですよ。共存共栄という考え方です。あんなどでかいものをあれだけつくるわけですから、住民の皆さんにも御理解いただいてということから使っていただいているんです。

 今後ナショナルトレーニングセンターをつくるときに、これは工事期間のこともあるでしょうし、でき上がった後、あんなでかいものを、景観の問題や日照権の問題等、いろいろ文句を言いやすい立場にあるんです、北区の方、区議会は。

 そうなったときに、どうぞ各党各会派の先生方は、ナショナルトレーニングセンターの管理運営がうまくいくように、北区の区議会とも、まさしく意思疎通ですね、お互いに意見交換をして、問題点があったらすぐ解決できるような、やはりそんな人間関係も構築しておくことが重要だと思います。これも答弁は要りませんが、裏方の文部科学省の担当官は、北区の区議会と何十回となく何百回となく行き来をして、うまく建設が進みますように、運営していくことができますようにという人知れぬ努力をしておられるんです。そういったことも踏まえて、今後の、でき上がるまで、でき上がった後の管理運営について、各先生方にも御理解いただきたいということを申し上げておきます。

 続きまして、スクールミーティングの話をちょっと。大臣、これはとてもすばらしいんです。ただし、これは大臣、副大臣、政務官、政治家なんですよ。スクールミーティングで学校現場に行くということは、教育の中立性ということを考えると、これは現場の組合とかあるいは教育基本法に照らして、大臣、副大臣、政務官が来るよりも、政治家がやってくるというふうな意識が結構強いんですね。

 ですから、スクールミーティングに当たっては、私は二つ注意を促しておきますけれども、やはりどう考えても我々は選挙で選ばれた政治家なわけですから、政治家の側面を持っているということを理解し、現場に不当な圧迫感を与えないように、これを一つ指摘しておくことと、もう一つは、スクールミーティングはよいのですが、行くぞ行くぞ行くぞとやると、これは準備してみんな待っているんです。ではなくて、大臣や副大臣は顔が売れているからもうしようがないですが、政務官ぐらいだったら別に顔が売れていませんから、時にはさっと行って、どうですか、これもまた現場の実態をうかがうにもよいことですから、時には、いきなりさっと行って、校長や教職員の方、あるいは保護者の方も最近PTAなんかでよく入っておられますから、どうですかという、やはりこういうふうなリサーチのあり方、意見聴取の仕方も考えていただきたいと思います。

 では、最後に学校選択制の話を聞いて終わります。

 金沢市は今もめているんですよ。教育委員会が中学校の学校選択制を来年度から進めようとしておりますが、公民館あるいは地域の方々、市議会、もうちょっと時間をかけて議論してから選択制をやった方がいいんじゃないかということでもめているというだけの話なんです。

 そこで、問題点を一つ。選択制は私も賛成です。しかし、選ぶ方にしてみれば、どんな学校なのかな、教育理念は、これは大体わかり得る話。次に親として知りたいことは教員の情報なんです。住所、氏名、年齢とかそういうのじゃないんです。その教員がどんなプロフィールで、今までどんな研修をし、何年生の担任をしとか、そういった情報を知り得て、ああ、こんな先生にうちの子供を習わせたいな、こんな校長のもとでこの教員たちが、こういう能力のある教員たちが頑張っているんだな、これも、学校開放以上に学校の情報公開として重要なことだと私は思っています。学校の情報公開は教員の情報公開なくしてあり得ないというのが私の考えです。

 ただし、これには必ず日教組の反対がついて回ります。個人情報保護の話とともに、なかなか自分たちの教授権を表に出したがらないという、これは人間としての、余り私がやっている授業についてああだこうだ言われたくないという本音もあるんです。

 学校選択制の前に、学校の開放のあり方、教員の情報公開のあり方についての見解をお伺いして、私の質問を終わります。

 

○銭谷眞美政府参考人(文部科学省初等中等教育局長) 

 学校教育の質の保証を求めるためには、地域に開かれた、信頼される学校づくりを進める必要があるわけでございますが、そのためにも、学校の教育活動について情報の公開、提供を行うということは不可欠であろうかと思っております。

 学校の情報公開につきましては、例えば、学校の開放週間の設定、ホームページや学校便りなどによります情報提供、地域住民への説明会の開催など、各教育委員会が地域の実情に応じていろいろ取り組みを行っていただいているところでございますが、さらに、学校選択とまた関連をいたしますれば、教育目標ですとか指導計画、年間の学校行事、部活動などの情報や、教員につきましても、その教育方針など、個人情報の保護に配慮しながら幅広く情報を提供していくことが望ましいと考えております。

 文部科学省といたしましては、こういった学校の情報公開につきまして適切な情報が提供されるように、すぐれた事例の紹介などを行いながら、各教育委員会における多様な工夫を促してまいりたいと考えております。 

○馳浩委員

 ありがとうございました。  
詳しくは衆議院 文部科学委員会議録をご覧ください
(常任委員会 → 文部科学委員会)

 

 


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